クレジットカードの国際ブランドとは?特徴やブランドごとの違い

日付:2019-06-18  カテゴリ:クレジットカードの基本

クレジットカードに国際ブランドが付いていれば、加盟店なら世界中で買い物ができます。現地通貨に両替する手間も省けますし、万が一現金が足りなくなってしまった場合など、カードは便利な場面も多いです。海外旅行をするには、今や必須といっても過言ではないでしょう。

ただし、VISAやMasterCardなどが海外でも使えるということは知っていても、「ブランドがどんな意味を持っているのかを知らない」「それぞれどのような違いがあるのか知らない」という人も多いでしょう。

そんな人のために、この記事では国際ブランドとは一体なんなのか、それぞれの特徴を解説していきます。カードの発行を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

国際ブランドの特徴とは?

まずは国際ブランドがどういうものかを詳しく見ていきましょう。

国際ブランドは原則的にカード1枚につき1種類のみ

1枚のカードに複数の国際ブランドを付けることはできません。つまり「1枚のカードにJCBとMasterCard両方が付いている」といったことは原則的にないのです。

例えばブランドが複数付いているカードがあったとすると、JCBとMasterCardが両方使えるお店で買い物をするとき、どちらかを選ばなければいけない場面が出てきます。また、カード番号自体にもブランドの情報が含まれていますので、そういった意味でも不具合が出てくる可能性があります。

国際ブランドはクレジットカードそのものではない

国際ブランドとクレジットカードの意味を混同している人もいるでしょう。しかし、両者は異なります。

クレジットカードは、所有者がショッピングなどをしたお店に、所有者の信用を元にクレジットカード会社が代わりに代金を支払う仕組みになっています。

国際ブランドは、そのカードで利用する決済ネットワークのことを表しています。同じ発行会社のカードでも「Master Card付きの楽天カード」「JCB付きの楽天カード」のように、違ったブランドを付けることができます。これは「どの決済ネットワークを選ぶか」ということなのです。

つまり国際ブランドはカード会社ではなく、決済ネットワークを提供している会社です(カードを発行している会社もあります)。「Master Card付きの楽天カード」の場合、楽天がMasterCardと提携して、楽天のカードをMasterCardの決済ネットワークで利用できるようにしているということです。

国際ブランドがあるクレジットカード以外のカードもある

カード自体に金額をチャージしておいて利用するプリペイドカード、決済時に銀行口座から直接引き落としになるデビットカードにも、国際ブランドが付いているものがあります。

「クレジットカードはうっかり使いすぎてしまいそうで怖い」といったイメージを持っている人もいるでしょう。そういう人も、プリペイドカードやデビットカードなら、安心して海外での買い物を楽しむことができそうです。

国際ブランドの種類とは?

現在クレジットカードの国際ブランドとなっているものは、合計で7つあります。VISAやMasterCardなどはもはやお馴染みですが、それ以外のカードはあまり馴染みがないという人も多いでしょう。それぞれどんな特徴を持っているのかをここで見ていきましょう。

VISA

現在世界でNo.1のシェアを誇っている国際ブランドがVISAです。加盟店の数も圧倒的に多く、世界200ヵ国以上で利用することができます。このブランドが付いたカードを持っていれば、どこの国でもまず困りませんので、1枚目に選ぶ人が多いカードでもあります。

VISA自体はカードの発行は行っておらず、各カード会社がVISAからライセンスを得てカードを発行する仕組みになっています。

JCB

国際ブランドの中で唯一日本発となっているのがJCBです。海外での加盟店の数ではVISAやMasterCardには及びませんが、日本国内での使い勝手が良いことが特徴に挙げられます。

また、日本発のブランドということもあって、海外旅行の際の日本語サポートにも長けています。各国主要都市には「JCBプラザ」「JCBプラザ ラウンジ」が設置されており、観光に関する情報案内や、ホテルやレストランの予約、盗難などトラブルに遭ったときの対応も日本語のスタッフが手厚く行っています。

Mastercard

VISAに続いて世界で2番目のシェアを誇っているのがMasterCardです。ただ2番目といっても、加盟店の数はVISAに劣らず、200以上の国で利用することができます。使い勝手というよりも、知名度でVISAに軍配が上がっているといったところでしょう。

MasterCardもVISAと同じく、カード自体の発行は行っていませんので、ライセンスを得ている会社のものを選ぶことになります。

American Express

国際ブランドの中でも高いステータスの表れとなるのがAmerican Express……通称「アメックス」です。一番安いクラスでも年会費は1万2000円からと、少々お高い設定になっています。JCBカードや三井住友VISAカードが年会費1250円から、場合によっては無料なことを考えると、それだけでステータスが高いと感じる人も多いのではないでしょうか。

一流ホテルやレストランなどでアメックスならではの優待を受けられる機会も多いでしょう。ただし、加盟店の数ではVISAやMasterCardには及ばず、使い勝手が悪いと感じる場面があるかもしれません。

Diners Club

最も古い歴史を持つクレジットカードと呼ばれているのが、Diners Clubです。アメックスと同様にステータスの高さを感じる人が多いカードで、年会費も2万2000円からと高額な設定になっています。高級ホテルやレストランの優待はもちろん、会員限定のゴルフコンペなど、Diners Clubならではの特典があります。

自社発行のほか、提携しているカード会社もJALやANA、BMWなど高いブランドイメージを持った企業が名前を連ねています。

銀聯カード

中国発の国際ブランドで、現在加速度的な成長を見せているのが銀聯(ぎんれん)カードです。英語ではUnion Pay(ユニオンペイ)とも呼ばれます。銀聯カードは、2017年には発行枚数66億枚を超え、なんと世界一の発行枚数を誇ります。

その理由は、中国で銀行口座を作ると、キャッシュカードに銀聯カードのブランドが付いてくるからです。中国の国民にとっては、持っていないほうが珍しいといえるでしょう。中国旅行へ行くなら使えるお店も多く、使い勝手が良いカードと言えます。また、中国人観光客が多いことから、日本でも加盟店は増加傾向にあります。

ディスカバーカード

ディスカバーカードは、主にアメリカ国内で使われてきたクレジットカードです。2005年を境に国際ブランドとなり、アメリカの周辺国や東南アジアなど各国へ広がりを見せています。

日本国内では今のところ発行しているカード会社はなく、日本人には少し縁遠いブランドといって良いでしょう。しかしJCBと提携しているため、ディスカバーカードを取り扱っているお店では、多くの場合JCBカードが代用できます。アメリカでJCBが使いやすいのは、ディスカバーカードとの提携のお陰だともいえるのです。

クレジットカードのブランドによる違い

紹介してきたブランドの特徴から、クレジットカードは大きく分けて2つの種類に分類されます。

ひとつは「決済カード」で、VISAやMasterCardがこれに当たります。決済カードの特徴は、広く行きわたったネットワークにより、決済の利便性に優れていることです。上記の2社は自社でカードの発行をしておらず、決済ネットワークのみに注力していることも特徴だといえます。

そしてもうひとつは「T&E(トラベル&エンターテインメント)カード」です。これにはJCBやAmerican Express、Diners Clubが当てはまります。T&Eカードは、航空会社やホテルなどの旅行関連、レストランなどに加盟店が多く、それに関する優待が用意されているのが特徴です。

国際ブランドを意識してクレジットカードを持つときのポイント

ここまでご覧の方は、国際ブランドの特徴もそれぞれにわかり、どのカードを選んだらよいか、だいたい検討が付いてきたところでしょう。最後に国際ブランドのカードを選ぶにあたって、いくつかの参考になるポイントをご紹介します。

提携している店舗が多いものを選ぶ

初めて国際ブランドのクレジットカードを作るという人には、VISAかMasterCardをおすすめします。理由は簡単で、上記2社の加盟店が世界的に見て圧倒的に多いからです。いずれかを1枚持っていれば、たいていの場面で利用できるでしょう。

旅行においてもT&Eカードは様々な優待を受けられますが、決済でVISAやMasterCardを使用しても問題ありません。国際ブランドのカードを発行するのは、現地での支払いをするためですから「どこでも使える」というのは最も優先度の高い条件と言えるでしょう。

利用する国に応じて選ぶ

VISAやMasterCardを持っていれば大体どこでも利用できますが、中国に行く場合は銀聯カードが有利なように、出かける国によって選択肢が変わる場合もあります。

アメリカではディスカバーカードが普及していることもあり、提携のJCBが問題なく使える施設も多いです。また、海外旅行となるとWi-Fi事情も気になることのひとつに挙げられます。JCBには会員限定でグローバルWi-Fiを安く貸し出すサービスもありますので、そういった点でも有利に働く場合があるでしょう。

複数の国際ブランドのカードを所有する

国際ブランドカードを持つときは、複数のカードを持っておくのもおすすめです。一枚目はVISAかMaster Cardにしたほうが良いですが、二枚目にJCBやAmerican ExpressなどのT&Eカードを持っておけば、優待がある場合などにそちらを選んで使うことができます。

一枚目のカードにない利点を補う形で、二枚目のカードを所持しておくとよいでしょう。また、一枚がトラブルで使えなくなったようなときも、二枚目を用意しておけば、とりあえずは対処することができます。

ただ複数のカードを所持すると、管理が煩雑になる側面もありますので、あくまでメインと補助の役割を保って使うようにしましょう。二枚とも限度額ギリギリまで使ってしまい、支払いが間に合わないなどということにもなりかねません。

国際ブランドを後から変更することのないようにする

「JCBでカードを作ったものの、後からVISAに変更したくなった」というようなケースもあるでしょう。しかし、あとから国際ブランドを変更するのは、極力避けたほうが賢明です。クレジットカードの国際ブランド変更は可能ですが、煩雑な手続きが必要になることがあります。

クレジットカードを作るときは、信用情報を確かめるため、限度額などを決めるために審査があります。国際ブランドを変更するときも、再度この審査を受けなければいけないのです。万が一審査に通らなければ、元々使っていたカードすら使えなくなってしまう場合もあるでしょう。

また、クレジットカード番号には、国際ブランドの情報も含まれていますから、当然これも変更になります。公共料金やケータイ料金の支払い、定額制のサービスをクレジットカードで利用している場合、それぞれ番号変更の手続きをしなければいけません。

以上のことを踏まえて、国際ブランドを決めるときは「安易に変更できるものではない」ということも念頭に置いておくほうが良いでしょう。

まとめ

クレジットカードの国際ブランドは、決済ネットワークを表したものです。より幅広いネットワークを持つVISAやMasterCardを持っていれば、海外旅行に非常に便利なこと、優待などで利点があることなど、ご理解いただけたでしょうか。

「わからないからVISAでいいか……」のように適当に決めるのではなく、それぞれの特徴をきちんと理解した上で検討すれば、より自分のニーズに合った国際ブランドを選ぶことができるでしょう。